この記事では、マーケティングを行う際に欠かせない「競合分析」について、いくつかの定番フレームワーク(手法)を使って解説します。
となるかもしれませんが、ご安心を。
これから起業したい初心者向けに、分かりやすく解説します。
目次
1.はじめに:マーケティングの競合分析フレームワークとは
マーケティングの競合分析フレームワークとは、自社の製品やサービスが市場でどのような位置付けにあるのかを把握し、競争力を向上させるための手法のことです。
具体的には、自社と競合他社の強みと弱みを科学的かつ客観的に評価し、それらをもとにマーケティング戦略を策定するための考え方ですね。
詳しくは後述しますが、例えば「スマートフォン」のメーカーが新しい商品を開発する場合、フレームワークを使って、以下のような要素を分析します。
要素 | 自社 | 競合他社 |
---|---|---|
製品の特性 | 高画質なカメラと長持ちバッテリーが特徴。 | 操作性がシンプルであることが売り。 |
価格設定 | 同等のスペックを持つ競合他社の製品に比べて価格が高い。 | 市場の価格と同程度。 |
販売チャネル | 主にオンラインショップを中心に販売を行っている・ | 物理店舗での販売が強い。 |
プロモーション戦略 | SNSとメールマーケティングに力を入れている。 | テレビCMと新聞広告を活用。 |
このように、特定の要素を使って自社と他者を比較することで、自社の競争力を高めるための戦略を立てることが可能になります。
また、市場の動向を理解し、新しいビジネスチャンスを見つけることも可能となるでしょう。
難しく感じるかもしれませんが、個人ビジネスを行う場合も、ライバル調査は必須なので覚えておきましょう!
2.競合分析の目的と必要性
続いては、競合分析の目的と必要性について詳しく見ていきましょう。
(1)競争力の客観的な評価
競合分析を行うことで、自社の製品やサービスが市場において、どの程度の競争力を持っているのか?を客観的に評価することが可能になります。
自社の強みや弱みだけでなく、競合他社との比較を通じて自社の立ち位置を明確に理解することができます。
(2)市場理解と戦略策定
競合分析は、市場の動向を理解し、事業戦略を策定するための重要な情報源でもあります。市場のニーズやトレンド、競合他社の戦略等を把握することで、より効果的なマーケティング戦略を組み立てることが可能となります。
(3)リスクとチャンスの発見
また、競合分析は新たなビジネスチャンスの発見や未知のリスクの予測にも役立ちます。競合他社の戦略や新製品、新サービスの情報をもとに、自社にとっての新たな商機や市場で起こり得るリスクを探り出すことが可能です。
3.競合分析の正しい考え方
競合分析やリサーチを行う上では、情報を頼りすぎることでのデメリットもあります。
それを回避するためにも、以下の2つの考え方を前提に分析を進めましょう。
「木を見て森を見ず」にならないこと
まず一つ目は、分析時に「特定のデータだけに依存しない」ということです。
売上高やマーケットシェアなどの数字を基にした分析は非常に大切ですが、それだけではなく、競合他社のビジョンや戦略、企業文化など、定性的な情報も考慮に入れることでより深い理解が得られます。
リサーチを進めていくと、どうしても特定の情報が目に入りやすくなりますので、注意が必要です。
競合を絞り過ぎないこと
次に二つ目、「類似商品やサービスを持つ会社だけが競合ではない」という考え方です。
製品やサービスが類似している企業だけでなく、顧客の時間やお金を使う行動につながる全ての要素が実質の競合となります。
例えば、映画館は他の映画館だけでなく、NetflixやYouTubeとも競合関係にあると考えられますよね。
以上の2点を意識して、競合分析を進めるとより有効な結果を得られるでしょう。
リサーチするポイントを間違えると、視野の狭い結果が出やすいので意識しておきましょう。
4.競合分析を行う簡単な流れ3ステップ
では、競合分析を行う際の簡単な流れを「3ステップ」で解説します。
1.競合を定める
当然ですが、競合分析を始める前には、まず競合する他社を特定することが必要です。
市場に存在する同業他社をリストアップし、自社と比較したときの強み、弱みを把握しましょう。
ニッチ(市場が狭い)なビジネスを行なっている場合は、直接的な競合が見つかりづらいことがあります。
その場合は、類似サービスや同じ業界で探します。
例えば、特定の地域でしか買えない独特のスパイスを販売するビジネスであれば、スーパーマーケットやスパイス専門店、あるいはオーガニック食品店などを競合と見立てることができます。
次に、競合他社の情報を収集します。
2.競合の情報を詳しく調査する
その企業の商品やサービス、価格設定、プロモーション、顧客層などを詳しく調査します。
これにより、その企業がどのような戦略を採用しているのかを理解することができます。
調査として簡単なのは、HPを見たり、SNSでの発信内容を見ることです。
また上級者編として、ツールを使う方法もあります。
※ツールについては「競合分析に活用できるツール(上級者編)」で解説しています。
3.具体的なフレームワークを使う
最後に、収集した情報を競合分析のフレームワークに当てはめて分析します。
ここでは、3C分析や4P分析、SWOT分析などのフレームワークを用いて、競合他社と自社との強弱点を明らかにします。
競合分析のやり方は色々ありますが、基本的にはこの3ステップを踏むことで、より効果的な競合分析が可能となります。
では続いて、フレームワークの種類と内容についてお伝えします。
5.競合分析に使える主なフレームワーク3選
競合分析のフレームワークにはいくつかの種類がありますが、その中でも特に有用とされているのが「3C分析」「4P分析」「SWOT分析」の3つです。
(1)3C分析
まずは「3C分析」です。
これは「企業(Company)」「顧客(Customer)」「競合(Competitor)」の3つの要素を分析するフレームワークです。
自社の強み・弱み、顧客のニーズ・行動、競合の戦略や製品を把握し、マーケティング戦略を立てる上で重要な情報を得ることができます。
(2)4P分析
次に「4P分析」です。
これは
- 「商品(Product)」
- 「価格(Price)」
- 「場所(Place)」
- 「宣伝(Promotion)」
の4つの要素を分析するフレームワークで、マーケティングミックスとも言われます。
自社と競合の4Pを比較し、市場での優位性を確保する方法を探ります。
(3)SWOT分析
最後に「SWOT分析」です。
「自社の強み(Strengths)・弱み(Weaknesses)と、機会(Opportunities)・脅威(Threats)」を分析し、自社のポジショニングと方向性を明確にするフレームワークです。
これらの分析フレームワークを用いることで、競合分析がより効果的になります。
続いてそれぞれの詳しい活用法を見ていきます。
6.各フレームワークの概要と活用方法
(1)3C分析とは?具体的な活用法
3C分析は、Company(自社)、Competitor(競合他社)、Customer(顧客)の3つの観点からビジネス環境を分析する手法です。
自社の強みや弱み、競合他社の動向、顧客のニーズや求めている価値を把握し、それらを踏まえた戦略策定に役立てます。
具体的な活用方法は以下の通りです。
3C | 分析内容 |
---|---|
顧客 | 顧客のニーズ、動向、購買行動を調査し、それに合わせたサービス提供や商品開発の方向性を見つけます。 |
自社 | 自社の強み、弱み、商品やサービスの特徴を理解し、それをベースにした差別化戦略を考えます。 |
競合 | 競合の戦略や商品、サービスを調査し、自社の位置づけや対策を考えます。 |
このフレームワークを用いることで、市場環境全体をバランスよく把握し、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能になります。
これにより、競合との比較を通じて自社の立ち位置を確認し、差別化点を見つけ出すことができます。
3C分析はお互いに影響しあう3つの要素を一緒に考えることで、全体的な戦略を立てることが可能です。
(2)4P分析とは?具体的な活用法
4P分析は、Product(製品)、Price(価格)、Place(場所)、Promotion(宣伝)の4つの要素を分析するフレームワークです。
競合他社が取り組むマーケティング戦略を理解し、自社の商品開発や価格設定、販売チャネルの選定、宣伝方法などに役立てます。
それぞれの具体的な活用法は以下の通りです。
4P | 分析内容 |
---|---|
Product | 自社製品と競合製品の特徴や利点を比較。差別化の要素を見つけます。 |
Price | 価格設定の違いを分析。顧客が価格に対してどう感じているかを理解します。 |
Place | 販売チャネル(方法や場所)の違いを捉え、自社の販路戦略を見直します。 |
Promotion | 宣伝・広告活動の違いを調査。どのように顧客へアプローチしているかを理解します。 |
これらの情報を基に、自社製品の強みや弱みを把握し、さらに市場での立ち位置を明確にすることで、より効果的なマーケティング戦略を策定することが可能となります。
(3)SWOT分析とは?具体的な活用法
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)を分析し、自社の現状と将来の可能性を見つめ直す手法です。これにより、自社の競争力を強化し、競合他社に対抗する戦略を練ることが可能となります。
具体的には以下の4つの要素をリストアップし、それぞれを評価します。
- 強み:自社が競合より優れている点
- 弱み:競合に比べて不足している点
- 機会:市場や環境から見つけた成長可能性
- 脅威:市場や環境から見つけたリスク要因
これらを一覧表にまとめることで、自社の位置づけと競合との差別化ポイントが明確になります。
また、機会と脅威からは新たなビジネスチャンスや戦略の見直しに繋がるきっかけを得ることができます。
他にもフレームワークは沢山ありますが、特に個人ビジネスで行う際はこの3つを軸に分析するだけで十分です。
↓競合分析と共に、ターゲットのニーズリサーチについても理解しておいてください。
7.競合分析に活用できるツール(上級者編)
続いてWeb上で使えるツールもご紹介しておきますが、基本は有料であり、内容も初心者向けではないので読み飛ばしてもOKです。
- リサーチに使える予算がある。
- 確かな数値とデータで分析したい。
- 今後のマーケティング活動のために触れておきたい。
という場合は、是非チェックしてみてください、
競合分析に役立つツールはいくつか存在しますが、ここでは以下の3つをご紹介いたします。
(1)SimilarWeb(シミラーウェブ)
このツールは、あなたのウェブサイトだけでなく、競合他社のウェブサイトのトラフィックや誘引したキーワード、一部のユーザー行動も把握することが可能です。
Similarweb(シミラーウェブ)は、オーディエンスのデジタル行動に関するデータとインサイトを提供するイスラエル生まれのマーケットインテリジェンス企業です。
2021年5月にはニューヨーク株式市場(NYSE)に上場。
当社が提供するプラットフォームを通じて、ユーザーは自社だけでなく、競合をはじめとする他社のサイトやアプリのデジタルパフォーマンスを分析し、インサイトを得ることができます。
Similarweb:【公式】Similarweb(シミラーウェブ)とは? | 無料版と有料版の違いと使い方、そして料金について
例えば、自社サイトと同じキーワードを使っているサイト分かったり、そのサイトへの流入元(Web、メルマガ、広告など)が分かるので、マーケティング戦略の見直しや新たな施策の立案に役立てることができます。
(2)Ahrefs(エイチレフス)
Ahrefs(エイチレフスと読みます)は、SEOに特化した競合分析ツールで、被リンク(外部から自社サイトに貼られたリンク)やキーワードの分析が行えます。
これにより、他社がどのようなキーワードで集客しているのかを理解することができ、SEO戦略の修正や改善に役立ちます。
また僕(ブログ著者の岩下)は、普段海外のマーケティング事情もリサーチしているので、Ahrefsのブログも気に入って読んでいます。
上級者向けではありますが、各ジャンルの専門家が詳細な知見とデータをもとに、素晴らしい記事を書き上げています。(良い記事を書く参考になります)
(3)Ghostery(ゴーストリー)
Ghosteryは、上記2つとは異なり、Chrome(ブラウザ)の拡張機能で無料で使えます。
本来はプライバシー情報の保護を目的としているツールですが、それを応用して他社サイトの分析をすることができます。
例えば、競合が使用しているツールや広告などを確認することができるため、ライバル企業のアクセス解析方法や、利用している広告をリサーチできます。
これらのツールを活用し、競合分析をより効果的に行うことが可能です。
8.まとめ:初心者でもできる競合分析フレームワークの学び方
さて、今回は競合分析フレームワークの基本をお伝えしました。
聞き慣れない言葉が多かったかもしれません。
始めは複雑に感じるかもしれませんが、3つのフレームワーク(3C分析、4P分析、SWOT分析)を理解し、それぞれのフレームワークの活用法を抑えることで、初心者でも競合分析が可能になります。
また、競合分析においてはツールの活用も重要です。SimilarWeb、Ahrefs、Ghosteryなどのツールを使うことで、より具体的で深い分析が可能になりますので、興味があれば試してくださいね。
今後は、これらの知識を基に、自分のビジネスの競争力を強化し、市場での立ち位置を確認するための一歩として、競合分析を活用してみてください。
マーケティングの世界では、常に学び続けることが求められます。これからも新たな情報を取り入れ、スキルを磨いていきましょう。
マーケティング?フレームワーク??