あたなは今、こんな風に悩んでいませんか?
実は、「看護師に向いていない」と感じることは、決してあなたがダメだということではありません。
むしろ、今の環境があなたに合っていないだけかもしれないのです。
看護師資格を持っているということは、それだけで大きな武器です。
病棟勤務だけが看護師の道ではありません。
クリニック、企業、在宅ワーク、起業…選択肢は無数にあります。
それを知った上で、本記事では次の3つをお伝えしたいと思います。
- 看護師に向いていない人の特徴5つ(該当しても大丈夫な理由)
- 「向いていない」と感じる本当の原因(性格・環境・価値観の分析)
- 向いていないと感じた時の具体的な行動ステップ

「向いていない」と感じているあなたにこそ、新しい可能性が開けています。この記事を最後まで読んで、希望を見つけてください。
目次
看護師に向いていない人の特徴5つ
まずは、多くの看護師が「向いていない」と感じる瞬間と、その特徴を見ていきましょう。
該当しても、それは「看護師として失格」という意味ではありません。
【補足】性格傾向を知ることの重要性
「向いていない」と感じる理由を理解するには、自分の性格傾向を客観的に知ることが重要です。
本記事では、心理学的な性格診断ツール「エゴグラム」を参考に、各特徴がどんな性格傾向の人に多いのかを解説していきます。
エゴグラムとは?
エゴグラムは、人間の性格を5つの自我状態に分類する心理学理論です。
- CP(厳格な親):責任感が強く、完璧主義
- NP(養育的な親):思いやりがあり、世話好き
- A(合理的な大人):理性的で現実的
- FC(自由な子供):創造的で活動的
- AC(順応した子供):協調的で安定的
これらの要素のバランスによって、どんな環境が合うのか、どんな働き方が向いているのかが見えてきます。
自分の性格傾向を理解することで、「向いていない」のではなく「今の環境が合っていない」ことに気づけるのです。
それでは、具体的な特徴を見ていきましょう。
1.人の命を預かるプレッシャーに耐えられない
看護師は、常に患者さんの命を預かっています。
点滴一つ、薬の投与一つ、すべてに責任が伴います。
「ミスをしたらどうしよう」 「自分のせいで患者さんが悪化したら…」
こうした不安が常につきまとい、夜も眠れないほど悩んでしまう。
これは、特に心配性、神経質、完璧主義の強い人に多い悩みです。
しかし、これは「向いていない」のではなく、責任感が強すぎる証拠でもあります。
命を預からない医療職(健康管理、予防医療、教育など)であれば、その責任感は大きな強みになります。
エゴグラムで見ると:CP(厳格な親)が高い人、A(合理的な大人)が高すぎる人は、このプレッシャーを感じやすい傾向があります。
2.血液や体液を見るのが苦手
「慣れれば大丈夫」と言われても、どうしても慣れない・・・採血、処置、排泄介助に生理的な拒否反応が出てしまう。
これは性格の問題ではなく、生理的な反応です。
無理に克服しようとすると、心身に大きな負担がかかります。
実は、看護師資格を活かしながら、こうした処置がほとんどない職場も存在します。
産業看護師、保育園看護師、医療ライターなどがその例です。
ある看護師は「採血が苦手で毎回吐き気がした」と悩んでいましたが、企業の健康管理室に転職したところ、「採血はほとんどなく、従業員との健康相談が中心で、こんなに楽な環境があったなんて」と驚いたそうです。
3.複雑な人間関係に疲弊する
看護師は、医師、患者さん、ご家族、同僚、他職種など、さまざまな人と関わります。
そのため
- 理不尽なクレームに対応しなければならない
- 医師と患者の板挟みになる
- 看護師同士の派閥やいじめがある
- 気を遣いすぎて疲れ果てる
など「一人で黙々と作業したい」「対人ストレスに弱い」という人にとって、この複雑な人間関係は大きな負担です。
エゴグラムで見ると:AC(順応した子供)が高い人は、周囲に気を遣いすぎて疲弊しやすく、NP(養育的な親)が高い人は、断れずに抱え込んでしまう傾向があります。
しかし、これも環境を変えれば解決します。
治験コーディネーター、医療ライター、在宅で働く健康相談など、人間関係がシンプルな仕事は多数あります。
4.夜勤や不規則な勤務が体力的につらい
夜勤を続けると、生活リズムが崩れ、慢性的な睡眠不足に陥ります。
- 体調不良が続く
- 子育てや家庭との両立が困難
- 休日も疲れて何もできない
特に、子育て中の看護師、体力に自信がない人、年齢を重ねた看護師にとって、夜勤は大きな負担です。
30代後半のある看護師は「20代の頃は夜勤も平気だったのに、35歳を過ぎてから急に体がついていかなくなった。でも、周りは普通にこなしているから、自分がおかしいのかと思っていた」と語っていました。
しかし、看護師=夜勤必須ではありません。
クリニック、企業、訪問看護、起業など、日勤のみ・自分のペースで働ける選択肢は豊富にあります。
↓夜勤がキツいと感じる看護師さんのために、リフレッシュ法をお伝えます。
5.感情労働に疲れ果てている
看護師は「感情労働」の代表的な職業です。
- 常に笑顔を求められる
- 自分の感情を抑えて患者さんに寄り添う
- 理不尽なことがあっても我慢しなければならない
感受性が強い人、共感しすぎてしまう人は、この感情労働で心が疲弊します。
「患者さんの苦しみを自分のことのように感じてしまう」 「家に帰っても患者さんのことが頭から離れない」
これは優しさの証拠ですが、あなた自身が壊れてしまっては意味がありません。
感情労働の少ない環境(企業、教育、在宅ワークなど)を選ぶことが、あなたを守ることにつながります。
エゴグラムで見ると:NP(養育的な親)が高く、FC(自由な子供)が低い人は、共感しすぎて自分の感情を抑え込む傾向があります。
「向いていない」と感じる本当の原因を分析する
ここからは、なぜ「向いていない」と感じるのか、その本当の原因を深掘りしていきます。
原因①:性格と職場環境のミスマッチ
多くの場合、「向いていない」と感じるのは、あなたの性格と職場環境がミスマッチを起こしているからです。
急性期病棟が合わないだけかもしれない
急性期病棟は、医療現場の中でも特にハードな環境です。
- 重症患者が多く、急変が頻繁
- 多重課題をスピーディに処理する必要がある
- 常に緊張状態
エゴグラムで言うと、FC(自由な子供)が高く、テキパキと動ける人には向いていますが、AC(順応した子供)が高く、慎重に一つずつ進めたい人には非常にストレスフルな環境です。
実際、急性期で疲弊した看護師が、慢性期病棟や療養型病院に転職したところ、「こんなに働きやすい環境があったなんて」と驚くケースは非常に多いのです。
職場の人間関係が悪いだけかもしれない
パワハラ、いじめ、派閥争い…。こうした職場は、どんなに優秀な看護師でも疲弊します。
「自分が悪いのかも」と思い込まず、職場を変えることを検討してください。人間関係の悩みの多くは、環境を変えるだけで解消します。
ある看護師は、いじめがひどい病棟から転職したところ、新しい職場では「あなたは本当に丁寧で素晴らしい看護師ですね」と評価されました。環境が変われば、評価も180度変わるのです。

僕は様々な業界の企業においてリーダー育成を行なっていますが、残念ながら看護師さんは、いじめといった人間関係の問題が非常に多い業界だと言えます。
原因②:価値観と仕事内容のズレ
あなたが大切にしている価値観と、今の仕事内容がズレている可能性があります。
「効率」より「丁寧さ」を大切にしたいのに
急性期病棟では、「早く、早く」とスピードが求められます。しかし、あなたは「一人ひとりの患者さんに丁寧に関わりたい」と思っているかもしれません。
この価値観のズレが、「向いていない」という感覚を生み出します。
慢性期病棟や訪問看護、在宅ケアなど、じっくりと患者さんと関われる環境であれば、あなたの価値観が活きます。
「患者ファースト」より「自分や家族の時間」を大切にしたい
看護師の世界では、「患者さん第一」が当たり前とされています。
しかし、あなたは「家族との時間も大切にしたい」「自分の人生も楽しみたい」と思っているかもしれません。
この価値観は、決して間違っていません。
むしろ、健全なワークライフバランスの考え方です。
クリニック、企業、在宅ワークなど、プライベートを大切にできる働き方を選ぶことは、わがままではなく、賢い選択です。
「医療の最前線」より「予防・教育」に興味がある
急性期の治療よりも、「病気にならないための予防」や「健康教育」に興味がある人もいます。
この場合、産業看護師、保育園看護師、健康セミナー講師など、予防医療や教育に関わる仕事の方が、あなたの価値観に合っています。
↓自分の大切な価値観に気づいていますか?
原因③:固定観念が自分を縛っている
「看護師に向いていない」と感じる背景には、無意識の固定観念が隠れていることがあります。
「看護師は病棟で働くべき」という固定観念
多くの看護師が、「看護師=病棟勤務」という固定観念を持っています。
しかし、これは一つの選択肢に過ぎません。
- クリニック
- 企業
- 保育園・学校
- 在宅ワーク
- 起業
看護師資格を活かせる場所は無数にあります。「病棟で働けない=看護師失格」ではないのです。
「辞める=逃げる」という固定観念
「つらいから辞めるのは逃げだ」と思い込んでいませんか?
しかし、自分に合わない環境から離れることは、逃げではなく「賢明な選択」です。
心理学の観点から見ると、この固定観念は過去の経験から生まれた「抑圧された感情」が原因です。
たとえば、学生時代に「辞めるのは甘え」と教えられた経験や、先輩から「辞めるなんて根性がない」と言われた経験が、無意識に影響を与えているのです。
この固定観念を手放すことで、新しい選択肢が見えてきます。
「看護師資格しかない」という固定観念
「看護師資格しかないから、他の仕事なんてできない」と思っていませんか?
実は、看護師資格は非常に強力な武器です。
- 医療知識がある
- 観察力・アセスメント能力がある
- コミュニケーション能力がある
- 傾聴力・共感力がある
- 緊急時の対応力がある
これらのスキルは、医療現場以外でも高く評価されます。
実際、看護師から異業種に転職した人、起業した人は数多くいます。
「看護師資格しかない」ではなく、「看護師資格という強力な武器がある」と考え方を変えてみてください。
↓看護師さんの「セカンドキャリア」について解説しました。

固定観念に気づけると、一気に視野が広がり、世界がこれまでとは全く違って見えるようになりますよ。
自己分析で「本当に向いていないのか」を確認する方法
もしあなたが「看護師に向いていない」と感じたら、まずは冷静に自己分析をすることも大切です。
というわけで、続いては具体的な「自己分析方法」について解説しておきましょう。
エゴグラム診断で性格傾向を知る
冒頭で少し補足しましたが「エゴグラム診断」を使うと、自分の性格傾向が客観的にわかります。
診断結果の活用例:
- CP(厳格な親)が高い:完璧主義で責任感が強い。急性期のプレッシャーに弱い可能性。慢性期や教育職が向いている。
- NP(養育的な親)が高い:共感力が強く献身的。燃え尽きやすいため、感情労働の少ない環境が合う。
- A(合理的な大人)が高い:冷静で論理的。治験コーディネーター、データ管理系の仕事が向いている。
- FC(自由な子供)が高い:活動的で柔軟。急性期や救急など変化の多い環境が合う。
- AC(順応した子供)が高い:協調性があり慎重。人間関係の複雑な職場でストレスを感じやすい。
このように、性格傾向を知ることで、「向いていない」のではなく「今の環境が合っていない」ことがわかります。
診断は下記のようなサイトで、簡単に行うことができます。
参考:5分でできるエゴグラムセルフチェック2024/こころの耳(厚生労働省)
ビッグファイブ性格診断で適性を見極める
ビッグファイブは、科学的根拠が高い性格診断で、5つの特性で自分を分析できます。
- 神経症傾向が高い人:ストレスを感じやすい。プレッシャーの少ない職場が合う。
- 外向性が低い人:一人で集中する仕事が向いている。医療ライター、研究職など。
- 開放性が高い人:新しい挑戦を好む。起業や新しい分野への転職が向いている。
このように、科学的な診断を活用することで、「向いていない」のではなく「適した環境が違う」ことが明確になります。
参考:BIG5-BASIC
価値観診断で「何を大切にしたいか」を明確にする
次の質問に答えてみてください。
- 仕事とプライベート、どちらを優先したい?
- 収入の安定と、やりがい、どちらが大切?
- 一人で働くのと、チームで働くの、どちらが好き?
- スピード重視と、丁寧さ重視、どちらが自分に合っている?
この価値観が明確になると、「向いていない」のではなく「今の職場が自分の価値観に合っていない」ことがわかります。
↓より具体的な自己分析方法を知りたい場合は、コチラも参考にしてください。
看護師に向いていないと感じた時の具体的な行動ステップ
それでは、「向いていない」と感じた時、具体的にどう行動すればいいのかを見ていきましょう。
ステップ1:一時的な疲労か、本質的な問題かを見極める
まず確認すべきは、「一時的なバーンアウト(燃え尽き症候群)」なのか、「本質的に合っていない」のかです。
バーンアウトの兆候:
- 最近、急に仕事がつらくなった
- 以前は楽しめていたことが楽しめなくなった
- 慢性的な疲労感がある
- 感情が麻痺している
これらに該当する場合、まずは休職や長期休暇を取って、心身を回復させることが優先です。
回復後に「やっぱり看護師を続けたい」と思えば続ければいいし、「やっぱり合わない」と思えば次のステップに進めばいいのです。
ステップ2:環境を変えるだけで解決しないか試す
「看護師に向いていない」のではなく、「今の職場が合っていない」可能性が高い場合は、まず環境を変えてみましょう。
試してみる価値のある転職先:
- 急性期→慢性期・療養型
- 大規模病院→クリニック
- 病棟→訪問看護
- フルタイム→パート勤務
環境を変えただけで、「こんなに働きやすいなんて」と驚くケースは非常に多いのです。
↓看護師に向いている職場については、こちらの記事でも詳しく解説しています
ステップ3:副業で「他の働き方」を試す
いきなり辞めるのではなく、副業で他の働き方を試してみるのも多いにアリです。
- 週末だけ健康相談を受け付ける
- 空き時間にライティングをやってみる
- オンライン講座を作成してみる
実際にやってみて、「自分に合っているか」を確認できます。
そして、副業で月3〜5万円の収入ができてから、本格的に転職や起業を考えても遅くありません。
↓看護師の副業・起業については、こちらの記事で詳しく解説しています
ステップ4:専門家のサポートを受ける
一人で抱え込まず、専門家の力を借りることも大切です。
活用できるサポート:
- 看護師専門の転職エージェント
- キャリアコーチング
- カウンセリング(バーンアウトの場合)
特に、転職エージェントは、自分では気づかない適性や、非公開求人を紹介してくれます。
また、キャリアコーチングを受けることで、「本当にやりたいこと」が見えてくることもあります。
ステップ5:「辞める」という選択肢を肯定する
最後に、もしあなたが「看護師を辞める」という決断をしたとしても、それは決して「逃げ」ではありません。
自分に合わない環境から離れることは、賢明な選択です。
看護師資格は、病棟勤務以外にも無数の活かし方があります。
そして、完全に医療から離れて、まったく新しいキャリアを築くことも、もちろん可能です。
考えるべきことを考え抜いたら「辞める」という選択肢を選んで、新たなステージで活躍する自分をイメージしてみてください。
まとめ
「看護師に向いていない」と感じることは、決して悪いことではありません。
それは、今の環境があなたに合っていないだけかもしれません。
- 性格と職場環境のミスマッチ
- 価値観と仕事内容のズレ
- 固定観念が自分を縛っている
これらの原因を理解し、適切な行動を取ることで、新しい道が開けます。
看護師資格は、病棟勤務以外にも活かせる場所が無数にあります。
クリニック、企業、在宅ワーク、起業など、選択肢は豊富です。
大切なのは、「自分らしく働けること」。無理をして今の環境で耐え続ける必要はありません。
あなたには、もっと輝ける場所があります。

大事なのは一時的な感情や出来事に惑わされず、本質に従って行動することです。後悔しないためにも、より良い選択をしていきましょう!

岩下 知史(イワシタ トモフミ)
コーチ/研修講師/才能診断の専門家
コーチとして2,000時間の個人セッションを行い、企業研修講師として1,000人以上に指導。主に経営者、管理職といったリーダー層の育成に力を入れている。
個人の才能発掘、思い込みを外すコーチング、チームビルディングを得意とする。
「私、本当に看護師に向いていないのかも…」
「毎日仕事に行くのがつらい。でも、辞めたら生活できない」
「看護師資格しかないから、他の仕事なんてできないよね…」