MBTI診断は、スイスの心理学者カール・ユングの理論に基づき、16の性格タイプに分類する性格診断ツールです。
企業の人材育成や医療分野でも広く活用されており、自己理解とキャリア選択に役立つことで知られています。
最近では看護師の間でも「自分に合った職場がわかる」「人間関係の悩みが理解できる」と注目を集めています。
同じ看護師という職業でも、MBTIタイプによって得意な業務、適した診療科、コミュニケーションスタイルがまったく異なることが、様々な研究で明らかになっているのです。
たとえば、緩和ケア病棟で患者さんに深く寄り添うことに喜びを感じる看護師がいる一方で、救急外来で瞬時の判断と処置に力を発揮する看護師もいます。
どちらが優れているわけでもなく、それぞれの性格タイプに合った環境で働いているからこそ、その能力が最大限に発揮されているのです。
本記事では、過去に本ブログでも扱った「エゴグラム」と比較しつつ「看護師さんがMBTIを活用して理想のキャリアを獲得する方法」について、次の3つをお伝えします。
- MBTIの基礎知識とエゴグラムとの違い
- 16タイプ別の看護師としての強み・弱みと適した環境
- タイプ別の職場での人間関係構築法
あなたのMBTIタイプを知ることで、今よりもっと自分らしく働けるキャリアが見つかります。
それでは、まずMBTIの基礎から見ていきましょう。
目次
MBTIとは?看護師が知るべき16性格タイプの基礎
MBTIを活用する前に、まずはその仕組みを理解することが大切です。
「16タイプ」と聞くと複雑に思えるかもしれませんが、実はシンプルな4つの軸の組み合わせで成り立っています。
MBTI診断の4つの軸を理解する
MBTIは、人間の性格を4つの軸で分類します。
それぞれの軸は2つの対立する傾向から成り立っており、あなたがどちらに近いかで性格タイプが決まります。
第1の軸:E(外向型)vs I(内向型)― エネルギーの方向性
これは「どこからエネルギーを得るか」を示す軸です。
外向型(E)の看護師は、患者さんやスタッフと関わることでエネルギーが湧いてきます。
にぎやかな環境が好きで、休憩時間も同僚とおしゃべりすることでリフレッシュします。
外来や地域医療など、多くの人と関わる環境で力を発揮するかもしれません。
一方、内向型(I)の看護師は、一人の時間で充電します。
人と関わることが嫌いなわけではありませんが、長時間の対人業務の後は静かな時間が必要です。
深く考えることを好み、一人ひとりの患者さんとじっくり向き合うスタイルが得意です。
看護師という職業は対人業務が中心ですが、内向型だから向いていないわけではありません。
むしろ、訪問看護や夜勤専従など、限られた人数と深く関わる環境では、内向型の強みが活きるのです。
第2の軸:S(感覚型)vs N(直観型)― 情報の受け取り方
これは「どのように情報を受け取り、処理するか」を示す軸です。
感覚型(S)の看護師は、具体的で現実的な情報を重視します。
「今、ここ」に意識を向け、詳細なデータや五感で得られる情報を大切にします。
バイタルサインの微妙な変化、患者さんの表情の違い、皮膚の色の変化など、目の前の具体的な情報から正確にアセスメントすることが得意かもしれません。
直観型(N)の看護師は、全体像やパターン、可能性を重視します。
「なぜそうなったのか」「今後どうなるか」と未来志向で考え、表面的な情報の背後にある意味を読み取ろうとします。
患者さんの言葉にならない思いや、家族関係の問題など、見えない部分に気づく力があります。
手術室やICUなど、正確な観察と処置が求められる部署では感覚型が力を発揮し、緩和ケアや精神科など、患者さんの内面理解が重要な部署では直観型が輝きやすいと言えるでしょう。
第3の軸:T(思考型)vs F(感情型)― 意思決定の基準
これは「どのように判断し、決断するか」を示す軸です。
思考型(T)の看護師は、論理と公平性を重視します。
感情に左右されず、客観的なデータやエビデンスに基づいて判断します。
「この処置が医学的に正しいか」を最優先し、時には患者さんの感情よりも医療的な正確性を選ぶことを得意とするかもしれません。
感情型(F)の看護師は、共感と価値観を重視します。
「患者さんはどう感じるか」「何を大切にしているか」を優先し、人間関係や調和を大切にします。
医学的には最適でも、患者さんの価値観に合わなければ、別の選択肢を探そうとするかもしれません。
どちらが良い看護師かではなく、場面によって必要な視点が違うのです。
救急外来では思考型の冷静な判断が必要ですが、終末期ケアでは感情型の共感力が不可欠です。
第4の軸:J(判断型)vs P(知覚型)― 外界への接し方
これは「どのように生活や仕事を進めるか」を示す軸です。
判断型(J)の看護師は、計画的で組織的です。
事前にスケジュールを立て、締め切りを守り、決断が早いタイプです。
「今日はこの順番で業務を進める」と決めてから動き、予定通りに進むことに安心を感じるかもしれません。
知覚型(P)の看護師は、柔軟で臨機応変です。
状況に応じて計画を変え、選択肢を残しておくことを好みます。
「とりあえず始めて、状況を見ながら調整しよう」というスタイルで、突発的な変化に対応することが得意かもしれません。
慢性期病棟など、ルーティンが中心の環境では判断型が働きやすく、救急外来など、常に状況が変わる環境では知覚型が力を発揮すると言えます。
16タイプはこの4つの軸の組み合わせ
これら4つの軸の組み合わせで、16のタイプが決まります。
たとえば、INFJ(内向型・直観型・感情型・判断型)、ESTP(外向型・感覚型・思考型・知覚型)といった具合です。
それぞれのタイプには、独自の強みと弱み、そして最適な環境があります。
次のセクションでは、本ブログでも取り上げた「エゴグラムとMBTIの違い」を見ていきましょう。
エゴグラムとMBTIの違いと使い分け

結局、エゴグラムとMBTI、どちらを使えばいいの?
という疑問を持つ方も多いでしょう。
実は、この2つは測定するものがまったく異なるため、両方を併用することで、より深い自己理解が可能になります。
理論的背景の違い
エゴグラムは、精神科医エリック・バーンが創始した「交流分析理論」に基づいています。
人間の自我を5つの状態(CP・NP・A・FC・AC)に分類し、それぞれのバランスで性格を理解します。
一方、MBTIは、心理学者カール・ユングの「心理学的類型論」に基づいています。
人間の生まれ持った性格の傾向を、4つの軸×2つの傾向=16タイプで分類します。
測定するものの違い
ここが最も重要な違いです。
エゴグラムが測定するのは「現在の心理状態」です。
これは、環境やストレスによって変化します。
たとえば、プライベートでは穏やかなのに、職場では厳格になる、というような「状況による違い」を捉えます。
それに対して、MBTIが測定するのは「生まれ持った性格傾向」です。
これは基本的に変わりません。
右利きの人が訓練で左手も使えるようになっても、本質的には右利きであるように、MBTIタイプも本質的な「好み」を示します。
具体例で見る違い
あるINFJ型(内向的・直観的・感情的・判断的)の看護師が、急性期病棟で働いているとします。
MBTI診断では「INFJ」と出ますが、エゴグラム診断ではCP(厳格な親)とA(合理的な大人)が高く出るかもしれません。
これは何を意味するのでしょうか?
本来のINFJは、理想主義的で共感力が高く、深い人間関係を好みます。
しかし、急性期病棟という環境では、厳格さと論理性が求められます。
そのため、本来の性格とは異なる状態で働いている=無理をしているサインと捉えることができるのです。
エゴグラムの結果が「今の状態」を示し、MBTIの結果が「本来の自分」を示すことで、「ギャップ」が見えてきます。
このギャップが大きいほど、ストレスを感じている可能性が高いのです。
どちらを使うべき?
答えは、「両方を併用する」です。
MBTIで「生まれ持った傾向」を知り、長期的なキャリアの方向性を考え、エゴグラムでは「今の状態」を確認し、短期的な調整や行動改善を行うのがバランスの良い活用方法でしょう。
たとえば、MBTI診断でISFJ(内向的・感覚的・感情的・判断的)と出た看護師が、「やはり自分は慢性期病棟が向いている」と長期的なキャリアを考えます。
同時に、エゴグラム診断でNP(養育的な親)が高すぎることがわかれば、「今は献身的になりすぎて疲弊している」と気づき、自分のケアを優先する工夫をします。
このように、2つのツールは補完関係にあるのです。
↓エゴグラムについては、こちらで詳しく解説しています。
無料でMBTI診断を受ける方法
「MBTIに興味が湧いてきたけど、どうやって診断を受ければいいの?」と思った方のために、無料で診断できる方法をご紹介します。
最も有名で使いやすいのが「16Personalities」というウェブサイトです。
日本語に完全対応しており、約10〜15分で診断が完了します。
- 日本語対応
- 約60問の質問に答える
- 診断後、詳細なレポートが表示される
- 強み・弱み・恋愛・キャリアなど多角的な分析
- 完全無料(登録不要)
診断の受け方のコツ
診断を受ける際は、「職場でどうしているか」ではなく、「本来の自分はどうか」を基準に答えてください。
たとえば、「人前で話すのが好きですか?」という質問に対して「仕事では発表することもあるけど、本当は一人で考える方が好き」なら、後者を選びます。
また、「どちらとも言えない」という中立的な回答は、できるだけ避けましょう。
完璧な答えはありません。
少しでも傾向があれば、その方向で答えることで、より正確な結果が得られます。
注意点
16Personalitiesは、厳密には「MBTI」ではなく、MBTIを参考にした独自の診断ツールです。
正式なMBTI診断は、有資格者による実施が必要で有料です。(日本MBTI協会)
しかし、自己理解のツールとしては非常に有用で、看護師のキャリア選択にも十分活用できます。
まずは無料診断で自分のタイプを知り、より深く学びたければ、正式なMBTI診断を受けることも検討できます。
<参考>
・16Personalities
・日本MBTI協会
それでは、診断結果を手元に用意して、次のセクションで16タイプそれぞれの特徴を見ていきましょう。
看護師の性格タイプと向いている環境
ここからは、16のタイプを4つのグループに分けて、それぞれの特徴と向いている環境を詳しく見ていきます。
あなたのタイプはどこに当てはまるでしょうか?
献身的で責任感の強いタイプ(ISFJ・ISTJ・ESFJ)
このグループは、看護師という職業と非常に相性が良いタイプと言えます。
責任感が強く、患者さんのために尽くすことに喜びを感じます。
ISFJ(擁護者)― 最も看護師らしいタイプ
ISFJは、しばしば「最も看護師らしいタイプ」と言われます。
献身的で、細やかな配慮ができ、患者さん一人ひとりのニーズに丁寧に応えようとします。
あなたがもし「ISFJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「患者さんが『ありがとう』と言ってくれる瞬間が、何よりも嬉しい。それが私の仕事を続ける原動力です」
ISFJの強みは、ルーティンワークを正確にこなせることです。
毎日の検温、記録、処置といった定型業務を、丁寧に確実に行います。
また、患者さんの小さな変化に気づく観察力も優れています。
しかし、弱みもあります。
変化が苦手で、新しいシステムや業務の変更にストレスを感じます。
また、自己主張が弱く、「嫌です」と言えずに仕事を抱え込んでしまう傾向があります。
だからこそ献身的になりすぎて、自分のケアを忘れ、燃え尽きてしまうリスクもあります。
ISFJに向いているのは、慢性期病棟、療養型病院、クリニックなど、患者さんとじっくり関われる環境と言えます。
ゆったりとした時間の流れの中で、一人ひとりに丁寧なケアを提供できる職場で、ISFJは最も輝くでしょう。
ISTJ(管理者)― 正確さと責任感の体現者
ISTJは、真面目で几帳面、ルールを何よりも重視します。
「決められたことは必ず守る」という責任感の強さが特徴です。
ISTJの看護師は、マニュアルを正確に守り、ミスが非常に少ないでしょう。
ダブルチェックも確実に行い、「まあいいか」という妥協を許さなそうです。
あなたがもし「 ISTJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私の仕事は、チームが安全に業務を遂行できる環境を整えることです。そのためには、ルールの徹底が不可欠です」
ISTJの強みは、正確な業務遂行と高い責任感です。
また、計画を立てて着実に進める力があり、管理業務にも向いています。
その反面、弱みは融通が利かないことです。
「ルールだから」と硬直的になりがちで、患者さんの個別的なニーズに柔軟に対応することが苦手です。
また、感情表現が少ないため、冷たく見られることもあるかもしれません。
そういった特性から、ISTJに向いているのは、手術室、ICU、感染管理部門、医療安全管理者など、正確性とルール遵守が最優先される環境と言えます。
マニュアルがしっかりしている職場で、ISTJは安心して力を発揮できます。
ESFJ(領事官)― チームのまとめ役
ESFJは、社交的で世話好き、協調性が非常に高いタイプです。
人と関わることが好きで、チームの雰囲気づくりに貢献します。
ESFJの看護師は、患者さんだけでなく、スタッフとのコミュニケーションも得意と言えるでしょう。
新人看護師が困っていれば声をかけ、チーム内の潤滑油として機能します。
あなたがもし「 ESFJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私の役割は、みんなが気持ちよく働ける環境をつくることだと思っています。スタッフが笑顔で働けば、それが患者さんにも伝わりますから」
ESFJの強みは、優れたコミュニケーション能力と、チームをまとめる力です。
また、他者のニーズに敏感で「今、この人は何を必要としているか」を察知できます。
弱みは、批判に弱く、NOと言えないことです。
周囲の期待に応えようとしすぎて、自分の限界を超えて働いてしまいます。
また、対立を極端に避けるため、必要な指摘ができないこともあります。
ESFJに向いているのは、外来、地域医療、訪問看護、そしてリーダー職です。
多くの人と関わり、調整役として活躍できる環境で、ESFJは生き生きと働けます。
このように、同じ「献身的で責任感が強い」グループでも、内向型か外向型か、感覚型か思考型かで、最適な環境は変わってきます。
次は、理想を追求する共感型タイプを見ていきましょう。
理想を追求する共感型タイプ(INFJ・INFP・ENFJ・ENFP)
このグループは、NF型(直観型×感情型)と呼ばれ、理想主義で深い共感力を持つタイプです。
患者さんの心に寄り添うことに力を発揮します。
INFJ(提唱者)― 洞察力と共感力の融合
INFJは、全人口の約1〜2%しかいないと言われている、非常に稀なタイプです。
深い洞察力と共感力を併せ持ち、患者さんの言葉にならない思いを察知します。
あなたがもし「 INFJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「患者さんが『大丈夫』と言っても、その奥に隠された不安や恐れを感じ取ることができます。そして、その感情に寄り添うことが、私の使命だと思っています」
INFJの強みは、患者さんの心に深く寄り添う力です。
表面的な言葉だけでなく、その背後にある本当の気持ちを理解しようとします。
また、全体を見渡す力があり、患者さんの人生や家族関係など、広い視点でケアを考えます。
しかし、理想が高すぎて、現実とのギャップに苦しむことがあります。
「もっとできるはず」「もっとやらなければ」と自分を追い込み、完璧主義で燃え尽きやすい傾向があります。
そんな特性から、INFJに向いているのは、緩和ケア病棟、精神科、訪問看護、がん相談支援センターなど、患者さんと深く関わり、心のケアが重視される環境と言えるでしょう。
時間をかけて信頼関係を築ける職場で、INFJは本領を発揮します。
INFP(仲介者)― 理想と個性を大切にする
INFPは、理想主義的で創造的、そして患者さんの個別性を何よりも尊重します。
「一人ひとり違って当たり前」という価値観を持っています。
あなたがもし「 INFP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「マニュアル通りのケアではなく、その人らしい生き方を支えたい。たとえ医学的には最善でなくても、その人が望む選択を尊重します」
INFPの強みは、患者さんの価値観や個性を尊重する姿勢です。
画一的なケアではなく、柔軟に対応し、その人に合ったケアを創造します。
また、芸術的な感性があり、ケアに工夫を凝らすことができます。
だからこそとも言えますが、弱みは「現実的な業務が苦手なこと」です。
記録や事務作業、ルーティンワークに苦痛を感じます。
また、決断が遅く、「これでいいのか」と常に迷います。
そして、自分の理想と現実のギャップに苦しみ、「自分は看護師に向いていないのでは」と悩むこともあるかもしれません。
そんなINFPに向いているのは、緩和ケア、小児科、在宅ケア、ホリスティック看護など、個別性が重視される環境と言えます。
また、型にはまらない自由度の高い職場で、INFPは創造性を発揮できます。
ENFJ(主人公)― 人を導くカリスマ
ENFJは、人を導く力があり、自然とリーダーになるタイプです。
情熱的で、周囲を鼓舞し、チーム全体のモチベーションを高めます。
あなたがもし「 ENFJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私の役割は、スタッフ一人ひとりの可能性を引き出し、成長を支えることです。彼らが成長することで、患者さんへのケアの質も向上します」
ENFJの強みは、優れた教育能力とリーダーシップです。
新人看護師の指導が得意で、相手の強みを見抜き、成長を促します。また、チームのビジョンを示し、みんなを同じ方向に導く力があります。
その反面、弱みは他者優先で自分を犠牲にすることです。
スタッフや患者さんのために尽くしすぎて、自分の時間がなくなります。
また、批判に敏感で、否定的なフィードバックに深く傷つきます。
そんなENFJに向いているのは、教育担当、看護師長、地域医療のリーダー、看護教員など、人を育て、導く役割と言えるでしょう。
また、プロジェクトのリーダーとして、新しい取り組みを推進する役割にも向いています。
ENFP(広報運動家)― 情熱と可能性を見出す
ENFPは、情熱的で創造的、そして可能性を見出す力に優れています。
「きっとできる!」と前向きに考え、周囲も元気づけます。
あなたがもし「 ENFP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「患者さんの『もうダメだ』という言葉の裏に、『本当はこうしたい』という希望があるんです。その希望を一緒に見つけるのが、私の仕事です」
ENFPの強みは、柔軟な発想と、患者さんのモチベーションを高める力です。
落ち込んでいる患者さんを励まし「やってみよう」という気持ちにさせることができます。
また、新しいアイデアを次々と生み出します。
弱みは、ルーティンが苦手で、飽きっぽいことです。
同じことの繰り返しに耐えられず、刺激を求めます。
また、計画性に欠け、思いつきで行動してしまうこともあるかもしれません。
そんなENFPに向いているのは、訪問看護、小児科、リハビリテーション、地域医療など、患者さんとの創造的な関わりが求められる環境と言えます。
また、変化が多く、刺激的な職場で力を発揮します。
このグループは、患者さんの心のケアに優れていますが、現実的な業務とのバランスが課題になることがあります。次は、論理的で分析的なタイプを見ていきましょう。
論理的で分析的なタイプ(INTJ・INTP・ENTJ・ENTP)
ここからは、NT型(直観型×思考型)のグループを見ていきます。
このグループは「分析家」と呼ばれ、論理的思考と戦略的視点を持つタイプです。
感情よりも論理を重視するため、看護師の中では少数派かもしれませんが、特定の分野で大きな力を発揮します。
INTJ(建築家)― 戦略的思考の持ち主
INTJは、戦略的で独立心が強く、専門性を追求するタイプです。
「なぜそうなのか」を深く考え、より良い方法を常に探します。
あなたがもし「 INTJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私は単に業務をこなすだけでは満足できません。エビデンスを学び、より効果的なケア方法を考え、実践することに喜びを感じます」
INTJの強みは、複雑な問題を分析し、長期的な視点で解決策を考える力です。
また、専門知識を深めることに情熱を持ち、認定看護師や専門看護師として活躍します。
弱みは、感情的な共感が苦手なことです。
患者さんが感情的になると、どう対応すればいいかわからず戸惑います。
また、他者への配慮が足りないと見られることもあります。
そんなINTJに向いているのは、研究職、専門看護師、治験コーディネーター、医療政策など、専門性と論理性が求められる分野と言えそうです。
エビデンスベースの看護を追求できる環境で、INTJは輝きます。
INTP(論理学者)― 知的好奇心の探求者
INTPは、論理的分析が得意で、好奇心旺盛、そして独立心が強いタイプです。
「なぜ?」「どうして?」が口癖で、物事の仕組みを理解したがります。
INTPの看護師は、データ分析や研究の分野で活躍します。
あなたがもし「 INTP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「患者さんとの感情的な関わりは苦手ですが、データを分析し、医療の発展に貢献することに意義を感じます」
INTPの強みは、複雑なデータを分析し、新しい知識を習得する力です。
また、固定観念にとらわれず、革新的なアイデアを生み出します。
弱みは、ルーティンワークが苦痛で、感情的な対応が苦手なことです。
また、実践よりも理論を好むため、「考えてばかりで行動しない」と見られることもあります。
INTPに向いているのは、治験コーディネーター、データ分析、医療情報管理、研究職など、論理と分析が中心の仕事と言えそうです。
ENTJ(指揮官)― 生まれながらのリーダー
ENTJは、リーダーシップ、決断力、効率性を兼ね備えたタイプです。
組織をまとめ、目標に向かって推進する力があります。
あなたがもし「 ENTJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私の仕事は、組織全体を最適化し、より良い医療を提供できる体制を作ることです。そのためには、時に厳しい決断も必要です」
ENTJの強みは、組織を動かす力と、戦略的な改革を実現する能力です。
問題点を見抜き、迅速に解決策を実行します。
弱みは、他者の感情への配慮が不足しがちで、強引に見えることです。
また、完璧を求めすぎて、スタッフにプレッシャーを与えることもあるかもしれません。
ENTJに向いているのは、管理職、病棟師長、医療安全管理者、看護部長など、組織を動かす役割です。
ENTP(討論者)― 革新的発想の持ち主
ENTPは、革新的で、討論を楽しみ、挑戦的なタイプです。
既存のやり方に疑問を持ち、より良い方法を提案します。
あなたがもし「 ENTP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「なぜこのやり方なんですか?もっと効率的な方法があるのでは?」
変革の推進者として、新しいプロジェクトを立ち上げる力があるからこその言葉ですね。
ENTPの強みは、柔軟な発想と、問題解決の創造性です。
弱みは、ルーティンが苦手で、飽きっぽいことです。
ENTPに向いているのは、プロジェクト推進、業務改善、新規部署の立ち上げなど、変革が求められる役割です。
現実的で行動的なタイプ(ISTP・ISFP・ESTP・ESFP・ESTJ)
最後のグループは、SP型(感覚型×知覚型)とESTJ(感覚型×思考型×判断型)を含む、現実的で実践的、そして行動力があるタイプです。
このグループは「今、ここ」を重視し、理論よりも実践を好みます。
看護師の中では、急性期や救急など、瞬時の判断と行動が求められる環境で特に力を発揮します。
ISTP(巨匠)― 冷静な技術者
ISTPは、技術志向で冷静、そして問題解決が得意なタイプです。
「どうやって動くのか」「なぜこうなるのか」という仕組みへの興味が強く、処置技術を極めることに喜びを感じます。
あなたがもし「 ISTP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「緊急時、周りがパニックになっていても、私は冷静でいられます。『今、何をすべきか』が瞬時にわかる。それが自分の強みだと思っています」
ISTPの強みは、処置技術の習得が早く、緊急時でも冷静に対応できることと言えます。
感情に左右されず「今、必要なこと」を論理的に判断します。
また、手先が器用で、複雑な処置も正確にこなします。
医療機器の操作やトラブルシューティングも得意で、「この機械、おかしいな」と思った時、すぐに原因を見つけて対応できるかもしれません。
しかし、弱みもあります。
感情的なケアが苦手で、患者さんの不安や悲しみにどう対応すればいいかわからないことがあります。
また、ルーティンワークが退屈で、同じことの繰り返しに耐えられません。
「毎日同じことばかり」という環境では、モチベーションが下がってしまいます。
さらに、計画を立てることが苦手で、「とりあえずやってみる」というスタイルのため、事前準備が不足することもあります。
そんなISTPに向いているのは、救急外来、手術室、処置室、集中治療室など、技術と瞬時の判断が求められる環境と言えるでしょう。
また、医療機器の管理やメンテナンス、新しい医療機器の導入プロジェクトなど、技術的な側面が強い業務でも活躍します。
ISTPの看護師は「患者さんとの深い関わりよりも、確実な処置を提供することで貢献したい」と考える傾向があります。
それは決して冷たいわけではなく、自分の強みを活かした貢献の形なのです。
ISFP(冒険家)― 柔軟な対応者
ISFPは、柔軟で芸術的、そして価値観を重視するタイプです。
「その人らしさ」を大切にし、画一的なケアではなく、一人ひとりに合わせた対応ができます。
あなたがもし「 ISFP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「子どもたちは一人ひとり全然違います。マニュアル通りではなく、その子の性格や好きなものに合わせて関わると、すぐに心を開いてくれます」
ISFPの強みは、患者さんの個別性を尊重し、柔軟に対応できることです。
「こうあるべき」という固定観念にとらわれず、目の前の患者さんに最適な方法を、その場で考えます。
また、芸術的な感性があり、病室の環境を整えたり、子どもたちが楽しめる工夫をしたりすることが得意です。
穏やかな雰囲気を持ち、患者さんを安心させる力もあるでしょう。
一方で、弱みは計画性に欠けることと言えます。
「その場の状況で判断する」スタイルなので、事前の計画や長期的なビジョンを立てることが苦手な傾向があります。
また、対立を極端に避けるため、言うべきことを言えず、問題を先送りにしてしまうこともあります。
そして、自己主張が弱く、「自分はこうしたい」という意見を出すことが苦手です。
そんなISFPに向いているのは、小児科、訪問看護、緩和ケア、デイケアなど、患者さん一人ひとりとの柔軟な関わりが求められる環境と言えます。
また、リハビリテーション看護など、患者さんの個性や進度に合わせたケアが必要な分野でも力を発揮します。
ISFPの看護師は、「規則やマニュアルに縛られず、目の前の患者さんに最適なケアを提供したい」という思いを持っています。
その柔軟性こそが、ISFPの最大の強みなのです。
ESTP(起業家)― 行動派のエネルギッシュな存在
ESTPは、行動派でエネルギッシュ、そして現実的なタイプです。「考えるより動く」をモットーに、瞬時に判断し、迅速に行動します。
あなたがもし「 ESTP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「ドクターヘリでの救急現場は、一瞬の判断が命を左右します。考えている暇はない。体が勝手に動くんです」
ESTPの強みは、緊急時の迅速な判断と行動力です。
危機的状況でも動じることなく、むしろそういう状況で力を発揮します。
また、現実的で実践的、理論よりも「今、何が必要か」を優先します。
さらに、社交的で適応力が高く、初めて会う患者さんともすぐに打ち解けるかもしれません。
弱みは、計画性に欠け、衝動的に行動してしまうことです。
「まずやってみよう」というスタイルなので、リスクを十分に考えずに動いてしまうことがあります。
また、ルーティンワークが苦痛で、同じことの繰り返しに我慢できません。
さらに、長期的な視点が苦手で、「今」しか見えていないこともあります。
そして、細かいルールを軽視しがちで、「そんな細かいこと、どうでもいいじゃん」と思ってしまうこともあります。
そんなESTPに向いているのは、救急外来、災害医療、フライトナース、救命救急センターなど、危機的状況で瞬時の判断と行動が求められる環境と言えるでしょう。
また、外傷センターやER(救急救命室)など、常に変化があり、刺激的な環境で力を発揮するかもしれません、
ESTPの看護師は、「静かな慢性期病棟では退屈で死んでしまう。アドレナリンが出るような環境で働きたい」と考える傾向があります。
そのエネルギーと行動力が、救える命につながるのです。
ESFP(エンターテイナー)― 場を明るくする存在
ESFPは、明るく社交的、そして楽観的なタイプです。
その場にいるだけで雰囲気が明るくなり、患者さんの心を元気づけます。
あなたがもし「 ESFP型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「患者さんが『リハビリは辛い』って言うんです。でも、私が『一緒に頑張ろう!できるよ!』って明るく声をかけると、表情が変わるんです。それが嬉しくて」
ESFPの強みは、場の雰囲気を明るくする力です。
落ち込んでいる患者さんも、ESFPと話すと笑顔になるでしょう。
また、患者さんを楽しませる工夫が得意で、「今日は○○の日だから、これやってみよう!」と、日常にイベント性を持たせます。
さらに、社交的で人懐っこく、初対面でもすぐに距離を縮められます。
そして、今を楽しむ力があり、「辛いことも、楽しく乗り越えよう」という前向きさを持っています。
一方で弱みは、計画性に欠け、思いつきで行動してしまうことです。
「これ、楽しそう!」と思うと、後先考えずに始めてしまいます。
また、深刻な状況が苦手で、重い雰囲気に耐えられません。
さらに、細かい作業や記録が苦痛で、「こんな事務作業、つまらない」と後回しにしてしまいます。
そして、批判に弱く、注意されると深く落ち込みます。
そんなESFPに向いているのは、小児科、リハビリテーション、デイケア、訪問看護(特に高齢者)など、患者さんとの楽しい関わりや、モチベーションを高めることが重要な環境と言えます。
また、地域のイベントや健康教室など、人と楽しく関わる場面でも活躍します。
ESFPの看護師は、「患者さんの笑顔を見ることが、私の一番のやりがい」と語ります。その明るさは、医療現場にとってかけがえのない存在なのです。
ESTJ(幹部)― 組織の管理者
ESTJは、組織的で責任感が強く、効率を重視するタイプです。
「決められたことは守る」「無駄を省く」という考え方で、組織を動かします。
あなたがもし「 ESTJ型」の看護師なら、こんな言葉を使うかもしれません。
「私の仕事は、病棟が効率的に回るようにすることです。そのためには、ルールの徹底と、業務の標準化が必要です」
ESTJの強みは、組織をまとめ、効率的に運営する力です。
業務フローを分析し、無駄を見つけ、改善策を実行します。また、決断が早く、「これをやる」と決めたら即実行します。
さらに、責任感が強く、任されたことは必ずやり遂げます。
そして、現実的で実践的、理想論ではなく「今できること」を優先します。
弱みは、柔軟性に欠けることです。
「ルールはルール」と硬直的になりがちで、例外を認めません。
また、感情への配慮が不足しがちで、「効率」を優先するあまり、スタッフの気持ちを置き去りにすることがあります。
さらに、変化を嫌い、「今のやり方で問題ない」と新しい方法を受け入れにくいこともあります。
そして、細かいことにこだわりすぎて、大局を見失うこともあるかもしれません。
そんなESTJに向いているのは、管理職、病棟師長、医療安全部門、業務改善担当、感染管理など、組織を効率的に動かす役割と言えます。
また、医療材料管理や病棟運営など、システマティックな業務でも力を発揮します。
ESTJの看護師は、「組織がきちんと機能することで、患者さんに安全で質の高い医療を提供できる」という信念を持っています。その管理能力は、医療現場の基盤を支えているのです。
↓各職場の詳細は、こちらの記事でも解説しています。
このように、16タイプそれぞれに強みと最適な環境があります。
次は、職場での人間関係について見ていきましょう。
MBTIタイプ別:職場の人間関係と相性分析
MBTIを理解すると、職場での人間関係の悩みも、新しい視点で捉えられます。
「なぜあの人とうまくいかないのか」が、タイプの違いで説明できることが多いのです。
上司との相性パターンと対処法
職場で最も影響が大きいのが、上司との関係です。
タイプの違いによる典型的な摩擦と、その対処法を見ていきましょう。
T型上司(思考型)× F型部下(感情型)のケース
T型の上司は、論理と効率を重視します。
「この処置は、エビデンス的に正しいか?」「業務を効率化できないか?」と常に考えています。
一方、F型の部下は、患者さんの気持ちや人間関係を重視します。
「患者さんが不安そうでした」「ご家族が心配されていました」と報告します。
ここで摩擦が生まれます。上司は「感情的になりすぎ」と感じ、部下は「冷たい」「共感してくれない」と感じるのです。
F型の部下がT型の上司に報告する時は、感情だけでなく、論理も加えましょう。
×「患者さんが不安そうでした」
○「患者さんの不安が強く、治療への協力が得られにくい状況です。
事前説明の時間を増やすことで、協力度が向上すると考えられます。
このように、感情的な観察を論理的な文脈で伝えることで、T型の上司にも理解されやすくなります。
J型上司(判断型)× P型部下(知覚型)のケース
J型の上司は、計画通りに進めることを重視します。
「今週の目標は○○です。計画通りに進めてください」と指示します。
一方、P型の部下は、状況に応じて柔軟に対応したいと考えます。
「患者さんの状態が変わったので、予定を変更しました」と報告します。
上司は「なぜ勝手に変更するのか」と感じ、部下は「臨機応変に対応しただけなのに」と感じます。
P型の部下がJ型の上司と働く時は「基本計画は守りつつ、柔軟性の必要性を事前に共有する」ことが重要です。
「基本は計画通りに進めますが、患者さんの状態によって変更の可能性があります。その際は、すぐに報告します」
このように、柔軟性を残しつつ、上司を安心させる伝え方をしましょう。
E型上司(外向型)× I型部下(内向型)のケース
E型の上司は、頻繁にコミュニケーションを取りたがります。「どう?困ってることない?」「今日の患者さん、どうだった?」と話しかけます。
一方、I型の部下は、一人で考える時間が必要です。
話しかけられるたびに集中が途切れ、疲れてしまいます。
I型の部下は、定期的な報告の場を提案しましょう。
「毎日15時に、10分間の報告時間を作っていただけませんか?その時にまとめて報告します」
これにより、上司も安心し、部下も集中する時間が確保できます。
同僚との相性と協働のコツ
同僚との関係も、タイプの違いで摩擦が生まれることがあります。
しかし、違いを理解すれば、むしろ補完し合える関係になります。
SJ型(番人)× SP型(探検家)の組み合わせ
SJ型(ISTJ、ISFJなど)は、ルールを守り、計画通りに進めることを重視します。
一方、SP型(ISTP、ESTPなど)は、その場の状況に応じて柔軟に対応します。
SJ型が「マニュアル通りにやってほしい」と思う一方で、SP型は「状況に合わせて変えた方がいい」と考えます。
協働のコツ:基本ルールはSJ型が作り、緊急時の柔軟な対応はSP型が担当する、という役割分担が有効です。互いの強みを活かせます。
NF型(外交官)× NT型(分析家)の組み合わせ
NF型(INFJ、ENFJなど)は、患者さんの気持ちを大切にします。
一方、NT型(INTJ、ENTJなど)は、エビデンスに基づいた判断を重視します。
NF型が「患者さんの希望を尊重したい」と言う一方で、NT型は「医学的に最適な方法を選ぶべき」と考えます。
協働のコツ:NF型が患者さんの価値観や希望を深く理解し、NT型がそれを踏まえた最適な治療計画を立てる。この組み合わせは、患者中心の医療を実現する最強のチームになります。
患者さんとのコミュニケーション:タイプ別アプローチ
MBTIは、患者さんとのコミュニケーションにも応用できます。
もちろん、患者さんのタイプを正確に判断することは難しいですが、「この患者さんは論理的な説明を求めている」「この患者さんは共感を求めている」といった傾向を感じ取ることはできます。
F型看護師の強みと注意点
F型(感情型)の看護師は、共感力が高く、患者さんの不安を和らげることが得意です。
「お気持ち、よくわかります」「ご不安ですよね」という言葉が自然に出てきます。
しかし、感情移入しすぎて疲弊することもあります。
特に終末期ケアでは、患者さんの苦しみを自分のことのように感じてしまい、帰宅後も頭から離れなくなることがあるかもしれません。
T型看護師の強みと注意点
T型(思考型)の看護師は、論理的な説明が得意です。
「この処置の目的は○○です。手順は△△で、所要時間は□□分です」と明確に説明できます。
しかし、共感の言葉が少ないと、冷たく感じられることがあります。
意識的に「ご不安ですよね」「大変でしたね」という共感の言葉を加えることで、患者さんとの関係が改善するかもしれません。
このように、MBTIを理解することで、自分の強みを活かしつつ、弱みを補う工夫ができるようになります。
MBTIとエゴグラムを併用したキャリア設計法
最後に、MBTIとエゴグラムを併用した、効果的なキャリア設計の方法をお伝えします。
両方の診断を受けるメリット
MBTIとエゴグラムを併用することで、より立体的な自己理解が可能になります。
MBTIは「生まれ持った性格傾向」を示し、エゴグラムは「現在の心理状態」を示します。
この2つを比較することで、「本来の自分」と「今の自分」のギャップが見えてきます。
たとえば、MBTI診断でINFJ(内向型)と出たのに、エゴグラムでFC(自由な子供)が高く、NP(養育的な親)も高い場合「本質は内向的だが、今は外向的に振る舞っている」ことがわかります。
これは、無理をしている可能性があるサインと言えるでしょう。
結果を統合して最適なキャリアを選択する
MBTI(変わらない本質)から考えること:
- 長期的なキャリアの方向性
- 根本的に向いている職場環境
- 本質的な強み
エゴグラム(変化する状態)から考えること:
- 今の職場で無理をしていないか
- ストレスの原因
- 改善可能な行動パターン
たとえば、ISFJ型の看護師が、エゴグラムでCP(厳格な親)が急に高くなっている場合「本来は献身的なのに、今は厳しく管理している」状態です。
これは、ストレスで本来の自分を出せていないサインかもしれません。
このように、2つのツールを併用することで、より正確に自分を理解し、最適なキャリアを選択できます。
↓看護師さんのキャリアアップについてまとめました。
まとめ
MBTIは、看護師の自己理解とキャリア選択に非常に役立つツールです。
16タイプそれぞれに強み・弱みがあり、タイプによって適した職場環境がまったく異なります。
また、職場の人間関係の悩みも、タイプの違いで説明できることが多いのです。
大切なのは、「どのタイプが優れているか」ではなく、「自分のタイプに合った環境を選ぶこと」です。
ISFJ型が救急外来で苦しむのは、能力が低いからではなく、環境が合っていないだけです。
逆に、ESTP型が慢性期病棟で退屈するのも、同じ理由です。
「向いていない」と感じているのは、環境が合っていないだけかもしれません。
MBTIで自分のタイプを理解し、最適な職場を選びましょう。
そして、エゴグラムと併用することで、さらに深い自己理解が可能になるでしょう。
あなたの本来の強みを活かせる環境は、必ずあります。

岩下 知史(イワシタ トモフミ)
コーチ/研修講師/才能診断の専門家
コーチとして2,000時間の個人セッションを行い、企業研修講師として1,000人以上に指導。主に経営者、管理職といったリーダー層の育成に力を入れている。
個人の才能発掘、思い込みを外すコーチング、チームビルディングを得意とする。