この記事では「看護師さんにありがちな起業の失敗理由」についてお伝えします。
結論を先にお伝えすると、実は看護師さんの“ある強み”がそのまま起業の失敗につながる理由になってしまうことがよくあるんです。
看護師さんには他の職種にはない、とても大きな強みがあります。
しかし、それが起業する際の足枷になってしまっては本末転倒ですよね・・・。
だからこそ今回の記事では、看護師さんのどんな強みが起業の失敗理由につながってしまうのか?を理解した上で、その具体的な対処法まで解説いたします。
続きを読んでもらうことで、看護師さんがつまずきやすいポイントをあらかじめ理解して、起業成功の可能性をグッと高めることができるでしょう。
- 看護師さんにありがちな起業で失敗する理由10選
- 考えられる失敗への具体的な対処法
僕がコーチとして看護師さん含め、これまで見てきた1,000人以上の方々の特徴から「起業する際に注意が必要な特徴」をお伝えします。
起業の失敗につながってしまう看護師の強み10個
では早速ですが、看護師さんの強みが起業の失敗につながってしまう理由を10個お伝えします。
1.調和を大事にする
まず多くの看護師さんに共通してい言えることが「調和を大切にする心」です。
日本人全体にありがちなのですが、特に看護師さんにはよく見られる特徴でしょう。
調和を大切にする人にありがちなのは「他の人と同じでありたい」という気持ちも強く持っていることです。
これは「みんなで一緒に!」というポジティブな意味合いがある反面で「人と違うことをしたくない」「仲間はずれになりたくない」というネガティブな心の表れでもあります。
しかし、起業に必要なのは「差別化」です。
なぜなら他の人と同じでは、ビジネスが成り立たないからです。
つまり、積極的に他の人と違う事をやっていかなければならないわけです。
また常に平和を求めることが、必要な時に自分の意見を主張することを妨げる可能性があります。
- 自己主張するより、人の話を聞いているのがラク
- 自分だけがうまくいっているのはソワソワする
- できるだけ周りと足並みを揃えていたい
2.柔軟性が高く適応力がある
看護師さんの仕事は、次の瞬間に何が起こっているか?予測ができない緊急性の高いことが多いです。
そのため、自然と臨機応変に対応する能力が鍛えられます。
恐らく1日の終わりにどんな状態で仕事を終えたいか?よりも、目の前で起こっていることに次々対処していた方がラクなのではないでしょうか?
しかし、これが起業では大きな問題となります。
なぜなら起業には明確なビジョンと計画が必要だからです。
柔軟に対応できる能力は素晴らしいのですが、行き過ぎると「自分が何を目指しているのか?」が分からなくなってしまいます。
目の前に出来事にとらわれてしまい、いつの間にかビジネスの本来の目的からズレていってしまう方は非常に多いんです。
- 必ずやろうとしている事でも、つい後回しになってしまう。
- 環境に適応しすぎて周りの雰囲気に流されやすい。
- 5年後の目標を立てるより、目の前の出来事に対処していたい。
3.貢献することに生きがいを感じる
看護師さんと言えば「ホスピタリティ」という言葉が思い浮かびます。
ホスピタリティとは、思いやり・おもてなしという意味で、患者さんの心を癒すための技術や心配りのことを指します。
人の役に立つのはとても素晴らしいことですし、患者さんから感謝されたらそれだけで、やる気がみなぎることもあるでしょう。
組織で働いているうちは、それでも良いかもしれません。
しかし、そのホスピタリティの精神が行き過ぎてしまう事で、過度に貢献意識を高めてしまうと、ビジネスでは利益を後回しにしてしまうことがあります。
例えば
報酬は少ないけど、やりがいがある仕事だから、まあいいか!
といった具合に、労力とお金のバランスが崩れてしまうんです。
最初のうちは良いのですが、この状態をすっと続けていると、やがて必ず疲弊します。
利益を得ることも、ビジネスにおいては重要であると理解しておく必要がありますね。
- 人から感謝されると、やらなくて良いことまで頑張ってしまう。
- 看護師であるからには、人の役に立てなければ意味がないと思う。
- 社会貢献という言葉にとても惹かれる。
4.場の空気が読める
看護師さんは、患者さんはもちろん、その場全体の雰囲気の違いに敏感な方が多いです。
例えば、出勤してスタッフステーションに入った時の雰囲気がいつもと違うとか、患者さんの様子がどこかいつもと違うなど、細かな変化に気が付きます。
これはコミュニケーションにおいて、とても優れた能力である反面、空気を読み過ぎて自分の言いたいことが言えない、という弱みにも繋がります。
しかしビジネスにおいて、チャンスはいつやってくるか分かりません。
そんなチャンスが目の前に現れた時に、場の空気を読み過ぎて、自発的に行動できなければチャンスは一瞬にして過ぎ去っていくでしょう。
またビジネスパートナーや、顧客に対しても、感じていることを正直に伝えなければならない場面は沢山あります。
空気を読むことも大切ですが、あえて空気を読まない鋭い意見が、更にパートナーや顧客との関係性を深めることはよくあります。
- 会議などでは周りの意見を尊重しがち。
- 表情やしぐさで、なんとなく相手の考えていることが分かる。
- 相手の様子がいつもと違うと、気になってつい世話をやいてしまう。
5.チームプレイが得意
看護師さんの仕事において、チームワークはとても重要ですよね。
ちょっとした連絡ミスが、重大なトラブルに繋がってしまうため、メンバー全員の連携を強める必要があります。
そんなチームにおいては、出された指示に従ったり、誰かの動きに合わせることも多くなります。
また大事な場面では、上司やドクターに指示を仰ぐこともできるため、自分の動き方が自然と決まることが多いでしょう。
しかし、ビジネスでは誰も指示などしてくれないので、自ら戦略を考え、決断をし、実行しなくてはなりません。
だからこそ、いざ起業してはみたものの
で、何から始めれば良いの?
となってしまい、ビジネスがうまくいかずに、また組織に出戻る方も少なくありません。
このようにチームに頼りすぎると、個々の行動力・決断力が鈍ることがあります。
- 自発的に動くのは苦手だけど、指示があればテキパキ動ける。
- 自分で重要な判断を下すことに抵抗がある。
- 一緒に考え、動いてくれる人がいると安心する。
6.患者さんファーストである
看護師さんは日々の業務において、患者さんの思いに寄り添いつつも、患者さんの先にいらっしゃるご家族のことも考える必要がありますよね。
そうなると、基本的に患者さんの意思を尊重する場面が多いのではないでしょうか。
そんな、患者さんファーストを理念に掲げる病院も多いですよね。
病院内では、確かに患者さんの意思や要望が、看護師さんのお仕事に繋がります。
しかし、ビジネスでは顧客の要望以上に、市場の需要と供給のバランスを見極めることがとても重要です。
たとえ目の前の顧客からの要望であっても、自分のビジネスにメリットがなければ「NO!」を伝えなければならない場面が多々あります。
そういった意味で、看護師さんの中には断ることが苦手という方も多く、結果的に自分の首を締めてしまうことがよくあります。
- 頼られると断れない。
- 今日接した方の表情や仕草が、家に帰ってからも頭に浮かびやすい。
- 自分にとって良いことを後回しにしがち。
7.ルールや計画を遵守する
看護師さんは患者さんをケアする中で、慎重かつ計画的なプロセスが求められます。
ルール外の出来事が起こった際にも柔軟な対応ができるのですが、この背景には「早くもとの正しい状態に戻したい」という気持ちがあります。
そのため基本的には、決められたルールの中で動くことに安心感を感じる方が多いです。
その点、ビジネスにはルールがありません。
それどころか、これまでのルールに無いような、斬新なアイデアが求められることも多々あります。
あまりに決められたプロセスに固執してしまうと、柔軟な発想が得られないこともあるでしょう。
- 決まったタイミングで決まった仕事が終わると安心する。
- 業務においては、できるだけ明確な指示が欲しいと感じる。
- イレギュラーな対応も可能ではあるが、少しソワソワする。
8.バランスが良い
看護師さんの仕事は、患者さんの対応、検査、ドクターのサポート、看護記録の処理や患者さんの入退院の書類作成など、多岐にわたりますよね。
これはつまり、様々な要素をもった仕事をこなすだけの、能力バランスが必要ということです。
バランスが良いと聞くと、ポジティブな話題に聞こえるかもしれませんが、逆に言えば「突出した得意分野が見つかっていない」ということです。
ビジネスにおいて、何をしてくれる人か分からない「何でも屋」は非常に危険です。
自分だけの個性を活かして、顧客から選んでもらわないといけないわけですから、バランスの良さが逆に独自性を見失う原因となります。
- 比較的何でもそつなくこなせる。
- 幅広く対応できるが、特別なスキルを持っていない。
- 自分の強みを聞かれるとすぐに浮かんでこない。
9.完璧主義である
看護師さんは日々気の抜けない環境で仕事をしていることもあり、業務の1つ1つに完璧を求める傾向があります。
しかし、起業において完璧主義は大きな敵となります。
なぜならビジネスを成長させるためには、何度も繰り返しテストが必要だからです。
完璧主義は、結果としてビジネスに必要なテストの機会を奪うことに繋がります。
- 細かいことが気になって、作業が終わらないことがある。
- 一度完了した作業を、もう一度見直してやり直したくなる。
- とりあえず仕事を終わらせることは、手を抜くことと同じ。
10.情熱に対するこだわり
看護師さんになるには、大学や養成学校での勉強から始まり、看護師国家試験に合格するまでの長い道のりがありますよね。
その分、他の職種に比べると業務に対する情熱やこだわり、医療現場への想いが強い方も多いです。
しかし、情熱だけでビジネスが成り立つわけではありません。
確かに情熱も重要ですが、更に大事なのはビジネスの成功のために、その情熱を横に置いておく勇気があるか?です。
看護師さんとしての業務に慣れて、職人気質になればなるほど、その情熱やこだわりがビジネスの足を引っ張ってしまうこともあります。
- 看護師としてのスキルに自信がある。
- 看護師として人を助けたいという気持ちが強い。
- 仕事の話になると少し頑固になることがある。
以上が、起業の失敗につながる看護師さんの強みです。
会社員と起業家は考え方が全く異なります。自分の強みを起業後も活かせるように、カスタマイズしていきましょう!
起業に強みを活かすための具体的な対処法
では続いて、失敗につながる強みに対してどう対応すべきか?具体的な対処法をお伝えしておきます。
1.自己主張の強化
看護師が起業家として成功するためには、自己主張のスキルを磨くことが不可欠です。
これには、自信を持って意見を述べるトレーニングや、プレゼンテーション技術の向上が含まれます。
もし職場で研修などが行われる場合には、積極的にファシリテーション(進行役)を務めたり、質問や感想などをシェアしてください。
また、交渉術や影響力を高めるために、自分の考えていることを言葉にするトレーニングを行なってみてください。
そうすることで、ビジネスにおいても自らのアイディアや価値観を、効果的に伝えることができるようになるでしょう。
- プレゼンテーション
- 研修におけるファシリテーションや積極的な意見のシェア
- 考えていることを言語化するワーク
↓自分の考えを言語化する方法については、こちらにまとめましたので参考にして下さい。
2.価値観を明確にする
自己主張をするためには、ここぞという時に決断を迷わないよう、あなたの価値観を明確にしておく必要があります。
自身の内面と向き合い、価値観を明らかにすることで、一貫性のある意思決定が可能になります。
自分の価値観を明確にするために、以下の質問に答えてみてください。
- 最も充実感を感じるのはどのような活動をしているときですか?
- どのような状況下で最もストレスを感じ、不快に思いますか?
- あなたにとって成功とは何を意味しますか?
- 人生で最も誇りに思う瞬間はいつでしたか、そしてなぜですか?
- あなたが尊敬する人物は誰ですか、そしてその人物のどのような特徴や行動があなたに影響を与えましたか?
3.自己犠牲をやめる
看護師さんは他者への貢献を重視する傾向がありますが、自己犠牲にならないよう意識することが大切です。
そのためには、日常生活の中で「NO」と言えるトレーニングをしてみましょう。
まずは、以下のようなシチュエーションでNOと言うことから始めましょう。
- 街中でティッシュを渡されそうになった時
- 食事中に家族から「醤油をとって」と言われた時
- 知らない番号から営業の電話がかかってきた時
自己犠牲に陥りがちな場合、自分自身の時間やエネルギーを守るための境界線を設ける必要があります。
小さなことから断るクセをつけて、徐々に気乗りしない時の友人からの誘い、忙しい時の上司や同僚からの業務依頼などにNO!と言えるようにチャレンジしてください。
4.心のチェックリストをつくる
指示待ちになり過ぎることで、なかなか自発的な行動が出来ない場合は「これが出来たら動き始める」という心のチェックリストを作りましょう。
例えば以下のようなイメージです。
- 理解ができたら動く
- 必要な情報が整ったら動く
- 上司から信頼できるフィードバックをもらったら動く、など。
このように、自分の中でチェックリストを決めて、それが達成されたら動く!というルールを作ってしまいましょう。
チェックリストを作る際に重要なのは「安心感が得られるか?」です。安心感を得るために何が必要か?を考えてみましょう。
5.チームメンバーの特性を見極める
自己理解を深めるには、他者理解を深めることが有効です。
同僚や上司を客観視することで、自分の特性の活かし方や、考え方のクセなどを考察してみてください。
また、各メンバーの能力を最大限に引き出すためにはどうしたら良いか?というリーダーシップの視点は、起業後に大きく活かされるでしょう。
↓自分や職場のメンバーの特性が気になったら、是非こちらも読んでみてください。
まとめ:看護師が起業で失敗しないために
今回は「看護師さんが起業で失敗する理由とその対処法」についてお伝えしました。
組織にいた頃に出来たことが、起業すると出来なくなることも沢山あります。
幸いにも、心の準備はいくら行なってもお金がかかりませんので、もしあなたにピンとくるものがあれば、今のうちから対処法を実行しておいてください。
必ずあなたの起業を後押ししてくれる経験になるでしょう。
是非、あなたの感想や気づきをコメント欄に残してくださいね。
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